5月30日、東京サラブレッドクラブより2023年産募集について更新がありましたね。カタログの到着まで募集馬の写真等は見ることはできませんが、とりあえず血統表くらいは見られるので血統からの印象をまとめてみました。
この記事では、美浦入厩予定の牡馬について検討していきます。
↓美浦入厩予定牝馬の記事はこちら↓
ラインナップ
レッドエルザの23
3月27日生/レイクヴィラファーム生産
預託厩舎 木村哲也厩舎
父コントレイルに芝2000の未勝利戦2着のレッドエルザを母にもつ配合。
血統表を見てみると、5代前まではクロスが発生していません。
母のレッドエルザは自身は勝ち上がれなかったものの母としては実績があり、初仔のディープインパクト産駒レッドレオンがGⅡ日経新春杯を2着のほか4勝を挙げ、レッドレオンの全妹のレッドアステルも4勝、ハーツクライ産駒のルージュアルルも現在3勝を挙げています。
レッドエルザの産駒の傾向としては、リーディング上位実績のあるような種牡馬との配合でしっかり結果を残しているので、三冠馬コントレイルとの産駒も楽しみなところ。
牝系も優秀で、祖母BelvaからはBCターフなどGⅠ6勝したイングリッシュチャンネルが出ており、全弟のSedgefieldもGⅡレーンズエンドSで2着。レッドエルザはその全妹にあたり、活力十分なファミリーだと思います。
恐らく募集価格は相当高い設定になると思いますが、血統面では抜け目のない配合だと思いますから馬体次第では非常に魅力的な一頭だと思います。
レッドアヴァンセの23
2月20日生/ノーザンファーム生産
預託厩舎 手塚貴久厩舎
父エピファネイアに母は芝1600~1800で4勝を挙げ、ヴィクトリアマイル3着の実績があるレッドアヴァンセ。
レッドアヴァンセは母としてはこの記事を書いている時点では産駒のJRA勝ち上がりはありませんが、レッドルヴァンシュは芝マイルの新馬戦で3着とそこそこ走る印象はあります。
血統表を見ると、サンデーサイレンス 4×3、Lyphard 5×4、Hail to Reason 5×5、Northern Dancer 5×5のクロスがあります。
父エピファネイアと母父ディープインパクトの組み合わせはGⅡAJCCを制したアリストテレスや、GⅢ小倉大賞典を制したエピファニーがおり好印象の組み合わせだと思います。
牝系もバイユー系に属しており、曾祖母のエリモシューティングからは、エリザベス女王杯を制しているエリモシックが出ています。特に祖母のエリモピクシーは4頭の重賞馬を輩出した名牝です。
血統面では文句の付け所もない良血馬ですが、半兄の成績がやや引っかかるところがあります。馬体を見てかなり良く見えないことにはリスクが高い印象を感じます。
レッドファンタジアの23
4月3日生/ノーザンファーム生産
預託厩舎 木村哲也厩舎
父エピファネイアに未勝利戦3着実績がある母レッドファンタジアの配合。レッドファンタジアは母として優秀で、東京サラブレッドクラブ募集馬でレッドベルジュールとレッドベルオーブの2頭の重賞馬を輩出。
レッドファンタジアの23は東京サラブレッドクラブ募集馬のルージュベルメールの全弟にあたりますが、全姉の成績がパッとしないのが引っかかります。
ルージュベルメールはダート戦で使われましたが、芝でこそ期待したい良血馬だと思うので、そのあたりは馬体を見た印象が重要になってきそうです。
血統表を見てみるとクロスはNorthern Dancerの5×5のみ持っています。
牝系は優秀で、曽祖母Phone ChatterはBCジュヴェナイルフィリーズを制しており、祖母のCat ChatはナッソーカウンティSを制しスピンスターSを勝ったインランジェリーを出しています。母のレッドファンタジアはインランジェリーの全妹にあたります。
良血馬であることには疑いようがない血統構成ではありますが、全姉の成績がどうしてもネックになります。馬体を見てみないことには評価が難しい一頭です。
レッドベルローズの23
3月27日生/社台ファーム生産
預託厩舎 鹿戸雄一厩舎
父エピファネイアにGⅢフェアリーSで3着に入るなど3勝を挙げた実績があるレッドベルローズという配合。
父エピファネイアと母父ディープインパクトの組み合わせは、AJCCを勝ったアリストテレス等がいます。母も芝で実績がありますから、恐らく芝向きかなと思っています。
血統表を見るとサンデーサイレンスの4×3とHail to Reasonの5×5のクロスを持ちます。
牝系は優秀で、4代母はBCジュヴェナイルフィリーズを制したPhone Chatter。曽祖母のCat ChatはナッソーカウンティSを制しスピンスターSを勝ったインランジェリーを出しています。
祖母はそのインランジェリー半妹のレッドファンタジアで、産駒にはGⅢデイリー杯2歳Sを勝ったレッドベルジュールとレッドベルオーブのほかGⅢシンザン記念で3着実績レッドベルアームもいます。
優秀なファミリーではありますが、やや気がかりなのは、3/4同血にあたるルージュベルメールの実績がパッとしない点です。
第一印象は良血馬同士の配合でかなり良さそうなイメージを持ちますが、叔母のルージュベルメールの成績がリスクに感じるところが拭えません。
ディエンティの23
2月13日生/奥山ファーム生産
預託厩舎 奥村武厩舎
父レイデオロと愛で2勝の母ディエンティの配合。ディエンティの母としての実績はルージュカルミアが芝1800で2勝しているものの、他の兄弟の成績がイマイチなの少し気がかりなところ。
血統表を見てみると、Northern Dancer 4×5とRaise a Native 5×4、Mr. Prospector 4×5のクロスを持っています。
父レイデオロと母父ストームキャットの組み合わせは意外とサンプルが少なく、傾向が掴みにくいところはありますが、どちらかと言えば芝向きなのかなといった印象はあります。
牝系を辿ってみると、曽祖母は米G IエイコーンSを勝っているLotkaで、母ディエンティの全兄のファンタスティキャットは米GⅡスーパーダービーを勝っています。
血統自体は決して悪くないと思いますが、兄弟の成績が引っかかるところがあるので第一印象としては厳しい評価になります。よほど馬体が良くない限りは出資候補には上がらないと思っています。
レッドオリヴィアの23
4月22日生/ノーザンファーム生産
預託厩舎 萩原清厩舎
父レイデオロに芝1400〜1800で4勝した実績がある母レッドオリヴィアの配合。母としての産駒の成績は、地方で2勝しているオーロロッソ他未勝利戦2着のルージュミシェルがいますが、特筆すべき活躍馬は出ているとは言い難いです。
レイデオロ産駒で母は芝で実績がありますが、母の産駒の傾向を見ていると、レッドオリヴィアの23も芝ダート兼用になるのではないかと見ています。
血統表を見てみるとMr. Prospectorの4×5×5とNureyevの5×4のクロスを持っています。
牝系を辿ってみると、4代母のキーフライヤーは天皇賞春を制したスズカマンボの祖母にあたり、祖母のアドマイヤリッチは芝とダートどちらでも活躍し6勝した実績があります。
近親には叔父のレッドソロモンが芝2000mで5勝していますが、JRAで勝ち上がる馬は少なめな印象を持ちます。
血統からは重めな印象があり、芝ではなかなか厳しいと感じます。ダートであれば走りそうな気もしますが、字面からは出資にはリスクが高いと思っています。
レッドルーヴルの23
3月18日生/奥山ファーム生産
預託厩舎 大竹正博厩舎
父ダイワメジャーに芝2000で3勝しているレッドルーヴルの配合。父がダイワメジャーですから、レッドルーヴルとの配合だと芝マイルくらいの適性がありそうなイメージ。
レッドルーヴルの23が初仔で、血統表を見るとHalo 3×5のクロスを持ちます。
牝系はヌッチョリーナ系で、4代母Alruccabaから欧州各地の重賞実績のある活躍馬が数多く出ています。レッドルーヴルの23の近親では、叔父にGⅡ青葉賞2着のレッドエルディストや3勝したレッドリーガル、叔母には2勝したレッドアルジーヌがおり、活力のありそうなファミリーに属しています。
牝系も良いですし初仔ではあるものの馬格が大きくでやすいダイワメジャー産駒ですから、結構楽しみな感じを受ける第一印象。馬体次第では出資候補になり得る一頭です。
リュズキナの23
2月19日生/ノーザンファーム生産
預託厩舎 国枝栄厩舎
父シルバーステートに未出走の愛産馬リュズキナの配合。母リュズキナからは、GⅡ京都新聞杯を制したレッドジェネシスやGⅢクイーンSで3着のルージュスエルテなどが出ています。
血統表を見てみると、Northen Dancer 4×4とHail to Reason 5×5のクロスを持っています。
父シルバーステートとの配合ですので、産駒の傾向からは距離はマイル~2000くらいが合いそうな馬かなと思っています。
4代母のAmpullaは、日本でも活躍馬を輩出した種牡馬スティールハートの半妹にあたり、曾祖母のズマルードの産駒は英2000ギニーを勝ったキングオブキングスなど実績馬が多く、リュズキナの23の祖母にあたるラッキーもGⅢアサシSを勝っています。
東京サラブレッドから募集された兄弟に比べ、父がシルバーステートに変わったことがどうでるかという判断が難しいところが第一印象ですが、良血馬であることに間違いはないのでそのあたりは馬体を見て判断したいです。
オンラインドリームの23
2月15日生/社台ファーム生産
預託厩舎 黒岩陽一厩舎
父ジャスタウェイに芝1400mで新馬勝ちしたオンラインドリームの配合。オンラインドリームの23が初仔になると思います。
エリザベス女王杯2着実績の従姉妹ルージュエヴァイユとは血統構成がほぼ同じですから、芝中距離で走ってくれるのではないかと思っています。
血統表を見るとクロスはディンヒル4×4のみ持っています。
牝系で特筆すべきは凱旋門賞などGⅠ5勝の祖母デインドリーム。従兄弟のルージュエヴァイユも活躍しているほか、近親でもJRAで勝ち上がる馬が多数いるので日本適性も十分なファミリーだと思います。
良血馬ですし、ルージュエヴァイユの活躍もあるので人気は必至だと思います。募集価格と馬体が気になるところですが、字面では非常に魅力的な一頭です。
マレーナの23
3月26日生/信岡牧場生産
預託厩舎 矢嶋大樹厩舎
父レッドファルクスにダートで2勝した母マレーナの配合。血統表を見ると、サンデーサイレンスの3×3のクロスを持っています。
レッドファルクス産駒はダートでも走るイメージがありますから、恐らくマレーナとの産駒ならダート向きかなと思っています。ただ、マレーナは芝でも出走しているくらいなので芝向きに出ても不思議無いとは思います。
マレーナは母としても実績があり、父ヘニーヒューズのレッドゲイルがダート1400で4勝、ドレフォン産駒のフクノワカバもダート短距離で2勝しています。
また、マレーナの23の近親は勝ち上がっている馬も割と多いので、活力十分なファミリーだと思います。
字面からの第一印象は、クラシック戦線を狙っていくというよりは、ダート路線できっちり稼いでくれそうな配合にみえます。募集価格次第ではありますが、なかなか楽しめそうな一頭だと思います。
特に気になった馬
一通り美浦入厩予定の牡馬を見てみましたが、全体的な印象としては例年より楽しみな馬が多いなというところ。
そんな中でもゴリたか君が気になった馬は、レッドルーヴルの23とオンラインドリームの23の2頭。
レッドルーヴルの23はゴリたか君の初出資馬のレッドサーシャの従兄弟で元々マークしていた馬ですが、字面も悪くないので期待しています。
オンラインドリームの23は良血馬ですし、ルージュエヴァイユの活躍があるので単純にかなり気になる存在です。
馬体や歩様、そして何より募集価格が決め手になりますので今後評価が手のひら返しになる可能性はありますが、現状でのゴリたか君の評価は以上となります。