前回の記事から引き続き、東京サラブレッドクラブ2023年産募集について、カタログ到着までの間に血統からの印象をまとめています。
この記事では、美浦入厩予定の牝馬について検討していきます。
↓前回の美浦入厩予定の牡馬の記事はこちら↓
ラインナップ
クイーンズアドヴァイスの23
2月17日生/社台ファーム生産
預託厩舎 国枝栄厩舎
父コントレイルに亜産で亜GⅡオクレンシア賞を勝っているクイーンズアドヴァイスが母の配合。母クイーンズアドヴァイスの産駒では、JRAでデビューしている2頭はともに複数回勝っており、母としての実績も優秀です。
半兄は芝1800〜2000mで勝っており、3/4同血のレッドランメルトもオープン入りしているのでクイーンズアドヴァイスの23も芝1800〜2000くらいで活躍すると考えます。
血統表を見ると、Haloの4×5×4とNorthern Dancerの5×5のクロスを持っています。
牝系を見てみると、南米で活躍しているファミリーで祖母のQueen’s Benchは亜のGⅡカルロスカサレス賞を勝っています。
血統面からの第一印象としては、血統構成が似ているレッドランメルトが活躍しているのでかなり高評価になります。レッドランメルトの募集価格を考えるとクイーンズアドヴァイスの23もかなり高額の価格設定が考えられるので、相当馬体と歩様が良くないと出資自体は難しいところですが。
シャーラレイの23
2月7日生/社台ファーム生産
預託厩舎 宮田敬介厩舎
父コントレイルに米産で米G Iデルマーオークスを勝っているシャーラレイを母にもつ配合。母の産駒では、オルフェーヴルとの産駒のアーダレイが芝2000で未勝利勝ちをしています。
ディープインパクト産駒でシャーラレイの23とは3/4同血にあたるサトノソラーレは、地方で4勝しているもののJRAでは未勝利戦3着が最上位と血統を考えるとやや奮わない印象。
血統表を見ると、Mr. Prospectorの5×5のクロスを持っています。恐らく、半兄の傾向から芝の中距離に適性があると考えています。
募集価格はコントレイル産駒の良血馬なので恐らく高めの設定になると思いますが、半兄の成績を見ると第一印象としてはややリスキーな気がしています。
ジュエルインザサンの23
3月18日生/三石川上牧場生産
預託厩舎 斎藤誠厩舎
父キタサンブラックに母ジュエルインザサンの配合。母ジュエルインザサンは現役時代は芝の新馬戦でデビューの後はダートで走っています。そのダートの未勝利戦では3着が最高位。
ジュエルインザサンの母としての実績は、リアルスティール産駒のジョーショーローズがデビューしているものの、良い成績は残せていません。
血統表を見てみると、Lyphardの5×5クロスとノーザンテーストの5×5のクロスを持っています。
牝系を見てみると、叔母のイブニングジュエルは米GⅠデルマーオークスを制しているほか、ケンタッキーオークスでも2着に入る活躍をしており、日本では叔母のディープジュエリーが4勝しています。
字面からは悪くは無いけどやや物足りない印象を持ちますが、キタサンブラック産駒なのでもしかしたら活躍するのでは?という期待もあります。募集価格と馬体次第で評価をしたい一頭です。
プリンセスアスタの23
3月19日生/社台ファーム生産
預託厩舎 栗田徹厩舎
父キタサンブラックに伊GⅢキウスーラ賞を勝っている母プリンセスアスタの配合。プリンセスアスタの母としての実績は、ハーツクライ産駒のアスタマニアーナが一度出走しているだけでまだ特筆すべき内容はありません。
兄弟の傾向もわからないところに、芝ダート問わず活躍馬を出しているキタサンブラックの配合ですから、字面だけだと適性は掴めないのが正直なところです。
血統表を見ると、Lyphardの5×5とStop the Musicの5×5、興味深いのはHighclereの5×5牝系クロスを持っており面白い配合だと思っています。
牝系は祖母のLune Rougeは仏G Iサンタラリ賞を勝ったAsk for the Moonを出している他、英ダービー3着のAstrologyの祖母にあたるなど、欧州で活躍しているファミリーです。
第一印象では、デビューしている兄弟が少ないために評価が難しいところはありますが、血統はゴリたか君好みです。募集価格と馬体次第では出資候補になり得ると思っています。
レッドベルディエスの23
4月7日生/坂東牧場生産
預託厩舎 鹿戸雄一厩舎
父エピファネイアに芝で4勝した母レッドベルディエスの配合。レッドベルディエスは紫苑Sで4着に入った実績馬で、母としてはレッドベルディエスの23が初仔です。
血統表を見てみると、サンデーサイレンスの4×3クロスとHail to Reasonの5×5クロスを持っているほか、母のレッドベルディエスはディープインパクトにUnbridled’s SongとStorm Catのニックスがあります。
牝系は4代母のPhone ChatterはBCジュヴェナイルフィリーズ制したほか、近親でも母の全弟は重賞で勝っていますし、その他東京サラブレッドで活躍する馬が多いファミリー。
字面からはかなり活躍しそうな第一印象を持ちます。募集価格も高い設定になりそうですが、馬体もかなり良ければ大きいところを狙えるかもしれない期待があります。
レッドディオーサの23
4月21日生/坂東牧場生産
預託厩舎 高柳瑞樹厩舎
父のキズナにダートの1800mで3勝した母レッドディオーサの配合。レッドディオーサの産駒でデビューしているのが21年産のレッドリベルタのみですが、ダートの1400mで勝ち上がっています。
血統表を見てみると、Halo 4×5とNorthern Dancer 5×5のクロスを持っています。
父キズナと母父キングカメハメハの組み合わせはGⅢ平安S2着のハピなど出おり、レッドディオーサの23はダートで実績のある母の産駒と考えるとダート向きなのかなと考えます。
牝系はバラード牝系に属しており、4代母のエンジェリックソングからはフサイチセブンやレディバラード、そのレディバラードからはダノンバラードが出ています。
レッドディオーサの23の近親では叔母のレッドアトゥがダートで5勝しているほか、祖母ブレンダからは複数回勝利している馬も何頭も出ており、活力はありそうなファミリーだと思います。
血統面では優秀ですし、仮にダート向きの馬体でなくても芝でも走れそうな印象も持ちます。馬体が良さそうなら楽しみな一頭です。
レッドレグナントの23
1月27日生/ノーザンファーム生産
預託厩舎 大竹正博厩舎
父キズナに芝1400〜1600で4勝している母レッドレグナントの配合。レッドレグナントの産駒は未だデビューしていないので母の実績としては未だ評価はできません。
恐らく、キズナ産駒の牝馬で母も芝での実績がありますから、芝での適性があるのではと考えています。
血統表を見ると、Storm Catの3×4とMr. Prospectorの5×5のクロスを持っています。
牝系は曽祖母が南部杯を勝っているなどダートで活躍したゴールドティアラがいるファミリーに属しており、ゴールドティアラは富士Sを勝っているステファノスの祖母にあたります。祖母のエンプレスティアラからは勝ち上がっている馬も多く、活力十分なファミリーだと思います。
字面からは結構良さそうな印象を受けます。募集価格と馬体次第では出資候補になると考えています。
レッドアウローラの23
2月2日生/オカモトファーム生産
預託厩舎 森一誠厩舎
父モーリスに芝2000で2勝したレッドアウローラが母の配合。レッドアウローラの産駒には2歳馬のルージュヴィーナスがいますが、未だデビューしていないので母としての評価はまだ難しいです。
血統表を見るとサンデーサイレンス 3×4、Halo 5×4×5、Sadler’s Wells 4×4、Lyphard 5×5のクロスを持っており、かなり考えられた配合だと思います。
牝系は世界的に活躍馬を輩出しているバラード牝系で、4代母のエンジェリックソングからはフサイチセブンやレディバラード、レディバラードからはダノンバラードが出ており日本でも活躍している系統。
曽祖母フェアリーバラードからのファミリーは大物と言える馬は出ていないものの祖母レジュールダムールは3勝しており活力十分あると思います。
配合がゴリたか君好みでバラード牝系ですからかなり第一印象は良いです。募集価格が気になるのと、早く馬体を見てみたい一頭です。
ベアトリッツの23
4月16日生/社台ファーム生産
預託厩舎 上原佑紀厩舎
父ポエティックフレアと母は芝マイルで3勝しているベアトリッツの配合。ベアトリッツの母としての実績を見てみると、ここまでデビューしている産駒では活躍している馬を出せていません。
父ポエティックフレアは海外で活躍した新種牡馬なのでどのような産駒を出すのか判断が難しいところですが、現役時代の成績から芝のマイルくらいが良いのかなとイメージしています。ガリレオ系ではありますが、自身は重馬場が苦手だったようで、そのあたりが日本での適性にどう関連してくるのか興味深いところです。
その点、母はマイラーでしたからスピードを上手く受け継げばもしかすると活躍するかもしれません。
牝系は優秀で、祖母のバルドウィナは仏GⅢペネロープ賞を勝っており、産駒には桜花賞馬ジュエラーやフィリーズレビューを勝ったワンカラットなど輩出しています。
字面から悪い印象はありませんが、不確定要素が多いので出資にはハードルが高いと思ってしまいます。ただ、血統背景は魅力的なので色々な要素がプラスに働けば活躍しても不思議ないと思います。
レッドラフェスタの23
3月4日生/乾皆雄生産
預託厩舎 尾関知人厩舎
父シルバーステートに芝で3勝した母レッドラフェスタの配合。母としてはルージュラフェリアがデビューしていますが、記事を書いている時点では未だ勝てていません。
父シルバーステートに芝で実績がある母で半姉も芝で走っていますから、恐らく芝向きと見てもいのかなと思っています。
クロスはサンデーサイレンス 3×4とHail to Reason 5×5を持っています。
曾祖母のミスクイーンからは、英GⅡフライングチルダースSを勝ったシャトーイスタナや英GⅢサイリーニアSを勝ったプリンスオブライトが出ており、祖母のジューシージーンはJRAでは入着まででしたが、産駒の成績は安定して勝ち上がれる馬を出しており、活力のありそうなファミリーです。
父がシルバーステートと比較的地味な印象がありますが、それでも血統は良いですし、募集価格次第で馬体が良ければ面白い存在になると思います。
レイリオンの23
2月6日生/ノーザンファーム生産
預託厩舎 林徹厩舎
父リオンディーズに芝1200mで新馬勝ちしたレイリオンが母の配合。レイリオンは芝2000mでも勝っています。
レイリオンの母としての実績は、エピファネイア産駒のラレーヌデリスが芝2000mで2勝していますが、ハービンジャー産駒のピュアスマイルは記事を書いている時点ではまだ勝ち上がれていません。
リオンディーズ産駒は幅広い適性の産駒を出しているイメージがありますが、母や半姉の実績から、恐らく芝の中距離くらいに適性がある気がしています。
血統を見てみると、サンデーサイレンスの4×3、Sadler’s Wellsの4×5、Northern Dancerの5×5のクロスがあり、Sadler’s Wellsのクロスを持つ分重めな印象を持ちますが、3/4同血の半姉ラレーヌデリスも同じクロスなので問題無い気もします。
春秋グランプリ等GⅠ4勝のリスグラシューが叔母にいるファミリーに属しており、母のレイリオンはリスグラシューの3/4同血になります。近親には複数勝つ馬も結構いますが、JRAで勝ち上がれない馬もいたりで、当たり外れがあるファミリーという印象を持ちます。
良血馬で、血統構成の近い半姉も走っていますから字面では結構期待できる馬だと思います。ただ、当たり外れがありそうな感じはあるので、特に馬体面をしっかり見て判断する必要がありそうです。
レッドイリーゼの23
1月22日生/社台コーポレーション白老ファーム生産
預託厩舎 手塚貴久厩舎
父ハービンジャーに母レッドイリーゼの配合。母レッドイリーゼは現役時代、芝マイルで新馬勝ちし、1勝クラスは芝1800mで勝っています。
レッドイリーゼの産駒はまだデビューしていないので、母としての評価はまだできません。
父ハービンジャーに母父ハーツクライの配合は、リステッド競走の福島民放杯を勝ったカレンルシェルブルや4勝してオープン入りしたカーディナルなどいて悪い印象はありません。母は芝での実績があるので芝マイル〜2000くらいで走りそうな感じがします。
血統表を見てみると、Northern Dancerの5×5×5と、Lyphardの5×5のクロスを持っています。
優秀な牝系で、曽祖母のMagnificient StyleからはKジョージ6世&QESなど勝ったNathanielやアイルランドオークスを勝ったGreat Heavensが出ており、祖母スタイルスティックからはCBC賞などGⅢ2勝のレッドアンシェルが出ています。
血統は悪く無いので走ってくれそうな感じはあります。従姉妹で3/4同血のルージュグラースも良い馬だと思うので募集価格次第では結構面白い馬だと思います。
ビキニパレードの23
3月8日生/奥山ファーム生産
預託厩舎 嘉藤貴行厩舎
父ニューイヤーズデイとダート1200で1戦して繁殖入りしたビキニパレードを母にもつ配合。ビキニパレードの23が初仔になります。
血統表ではMr. Prospectorの4×4とHaloの5×4のクロスを持っており、父も母父もMr. Prospector系になります。
父ニューイヤーズデイと母父キングカメハメハの組み合わせは、サンプル自体は少ないもののダートで走っている馬がほとんどですから、恐らくビキニパレードもダートに適性があるのかなと考えています。
近親では祖母のフレンチビキニが4勝しているほか、産駒にはGⅢ新潟2歳Sを勝ったヴゼットジョリーやGⅡ阪神牝馬S2着のベルルミエール、GⅢファンタジーS2着のベルスールがいて、なかなか活力のありそうなファミリーに属しています。
字面からは悪い印象はありませんが、ダート向きだとしたらある程度馬格が欲しいので、その点小柄に出やすい初仔がどうか気になるところ。馬体もですが、測尺も重要だと思います。
レッドアネモスの23
3月8日生/社台ファーム生産
預託厩舎 加藤征弘厩舎
父シスキンにGⅢクイーンSを勝っているレッドアネモスが母の配合。レッドアネモスの23が母の初仔になります。
シスキン産駒の傾向はまだわかりませんが、母の実績も踏まえると芝マイルくらいに適性がありそうな印象。
血統表を見てみるとクロスはMr. Prospectorの5×5のみです。
牝系を遡ると4代母のヴアインゴールドからの活躍馬が多く、GⅡスワンSを勝ったビハインドザマスクを輩出したほか、GⅠヴィクトリアマイルを制したコイウタの祖母にあたります。
近親を見ると叔父叔母は勝ち上がった馬が多く、従兄弟にはGⅢきさらぎ賞2着のウォーターリヒトがいます。
血統は良いと思いますし、父と母の相性も悪くない組み合わせだと思います。母は実績馬ですし、募集価格と馬体次第では興味をそそられる馬です。
ブランシェールの23
4月8日生/門別牧場生産
預託厩舎 古賀慎明厩舎
父エイシンフラッシュに母ブランシェールの配合。全兄が2頭東京サラブレッドクラブで募集されていて、レッドライデンは芝1400〜2000mで4勝しオープン入りし、現3歳のレッドライトニングは記事を書いている現在まだ勝ち上がれていませんが芝1800〜2000mで掲示板2回と見どころのある走りをしています。
全兄の実績から、恐らくブランシェールの23も同じく芝マイル〜2000mくらいに適性があるのではないかと考えています。
血統表を見てみるとMr. Prospectorの4×4クロスがあります。
牝系は4代母のResolverが米GⅠ馬が3頭出しており、曽祖母のDisputeはケンタッキーオークス等GⅠ4勝を挙げています。
近親では大物といえる馬はいませんが、祖母のアドヴァーシティの産駒は東京サラブレッドクラブで募集された4頭中3頭勝ち上がってるほか、母の産駒も同クラブから募集された3頭中2頭が勝ち上がるなど、クラブとの相性が抜群なファミリーだと思っています。
第一印象としては、クラブとの相性の良いファミリーで全兄も実績がありますから悪い印象はありません。ゴリたか君はレッドライトニングが募集されていた当時、出資するか見送るか結構悩んでいた過去があるので、今回も馬体を見てみるのが楽しみにしています。
特に気になった馬
美浦に入厩予定の牝馬を血統から検討してみましたが、今年は全体的にレベルが高い印象を持ちました。
中でもゴリたか君が気になった馬は、レッドアウローラの23でした。字面では全方面でゴリたか君の好みで、馬体次第では積極的に出資候補にしたい一頭でした。
これから栗東に入厩予定の募集馬検討をしていくつもりですが、やはり検討しているこの時間が1番楽しいですね。